昔々、信州信濃に大町という集落がありました。
村人達がその真ん中を南北に通る道を作り、
生活を始めた頃のお話です。
その道の東側の村人は山里の居谷里という池の湧水を
西側の村人はアルプス白沢の湧水を
生活に使い始めたのです。
そして月日がたち、たくさんの子供達が生まれました。
しかし、東の集落は女の子ばかり、
西の集落は男の子ばかりが生まれたのです。
いつしか村人達は里山居谷里の水を女清水(おんなみず)
アルプス白沢の水を男清水(おとこみず)と呼ぶようになりました。
これでは困ったと東と西の村人が話し合いをして
南北の道の真中に川を造り、
両方の水を合わせて流すことにしました。
そして、更においしくなった水の流れる川の両側に
たくさんの村人が集まるようになり
男も女もみんな仲良く幸せに暮らしましたとさ...
大町で通常取水している水源は、すべて湧き水です。

大町では蛇口をひねると湧き水が出てきます。
「そんな馬鹿な!」「水道水じゃないか!」
そう思うのも無理がありません。でも、実際に大町の水道水は、山の水源から湧き出した水が最低限の処理だけで、そのまま水道管を流れて来るのです。都会では高度浄水処理を自慢にする自治体も多い中、浄水処理不要、滅菌だけでOKというのは、素晴らしいことです。
自然を大切にして、この恵まれた環境を後世にしっかりと残していきたいですね。水道水源と給水地域は、図に示す通りです。市街地に供給される水は、水源により大きく4つに分かれます。
それぞれの地域で味の微妙な違いを楽しんでみませんか?

市街地4水系のほか、木崎湖以北で3つの市営水道と3つの簡易水道が運営されています。また、八坂地区/美麻地区では、それぞれ集落ごとに管理している簡易水道が(※注)使用されています。

現在、大町商店街の東側は女清水、西側は男清水を水道水として使っています。男清水とは標高3,000m近いアルプスの上白沢 (黒部ダム入り口の川の上流)の湧水、女清水とは標高900mの里山・居谷里の湧水です。
遙か昔から伝わる、二つの不思議な湧水をお楽しみください。
二つの水を合わせた水は「縁結びの水、夫婦円満の水」と呼ばれています。
男の子が欲しいご夫婦は白沢の水を、女の子が欲しいご夫婦は居谷里の水を飲んでみたら?
望み通りのかわいい子宝が授かる...かもしれませんよ。

大町における
 若一王子神社と
  水の関係
現在の大町市街地は、鎌倉時代から室町時代にかけてこの地の支配者であった仁科氏によって都市計画が進められ、骨格が造られました。中央通りである千国街道に面して「市町」が形成され、町屋の裏側には飲料水として鹿島川の清浄な水を引き、表には「町川」が流れていました。
この水を分配する要の位置、市街地の北のはずれに、町の繁栄を願って祀られたのが若一王子神社です。仁科氏が厚く信仰していた熊野権現那智大社(くまのごんげんなちたいしゃ)を分社したと伝えられ、本殿は地方色豊かな安土桃山時代の様式をよく留めており、国の重要文化財に指定されています。
また、神社でありながら境内には三重塔(長野県宝)や観音堂(大町市指定文化財)が残るなど、神と仏を一体とする「神仏習合」の影響を色濃く残しています。