果樹

北ヤマト園
傘木知子さん

ブルーベリージャム屋の隠れおやき

 小さい頃から、おばあちゃんと母親がおやきを作ってくれて、かぼちゃ入れたり、生の大根をせんつき(千切りにする道具)でついて、茹でて、しっかりしぼって、エゴマと塩だけで和えたアンの味が一番印象に残っています。小さい頃の思い出。その香りを再現しようとするんですが、大根がべちゃべちゃになっちゃって、なかなか再現できないんですよ。おはぎなんかも、エゴマのおはぎでしたね。

 塩分と油と砂糖は体に良くないし、生活習慣病の原因になります。おからは砂糖を入れずにみりんとお酒と出し醤油。小豆も自分で育てて、農薬も肥料もくれなんでつくってます。小豆のおやきに入っている栗も家の裏で採れたものです。材料の味をひき出すには砂糖を入れすぎないこと。甘みが少なく、自然の味だと思うんです。砂糖や醤油の味に消されちゃう、素材の味のうまみがわかるんですよ。

 いっぺん蒸かしたおやきが冷めるとおいしくないから、オーブントースターでこんがり焼いて食べるのも好きですね。昔は囲炉裏の周りで焼いて食べました。灰焼きも作りましたね。茹で焼き餅というのがあって、そば粉とたしか米粉でつくって、中にはあんこを入れて、茹でておいて、冷めたら焼いて食べる。

 凍り餅も作りました。ちちっこ(母子草)って、姫川の川原の砂地に生えてた若芽を摘んで、玄米の米選下(育ちのわるい青米)を挽いて粉にして、もち米と合わせて凍り餅を作る。5月の田植えの時に、それを水で戻して焙烙(ほうろく)で焼いてきな粉と砂糖をまぶして安倍川餅にしておやつに食べました。ちょっと柔らかくて、あんまり粘りがなくっておいしかったですよ。今はちちっこが手に入らなければ、ヨモギで作っても、体にいいと思います。

 おやきは昔、ご飯の代わりに食べたから中身がおかずみたいなもんですよ。豚肉と玉ねぎとキャベツと味噌で豚まんみたいにして、それもおいしかったね。土地土地でおやきの作り方があるんですね、小谷の方にはチャノコって茶の子という意味だと思いますが、そば粉とゆでた馬鈴薯をつぶして粉にした「そばおやき」が北小谷の道の駅に今でも売ってますよ。中身は野沢菜とかおからとか同じです。

 昔は冷蔵庫もないし、野菜も売ってないから、野沢菜を干して、廊下に5mくらい吊るしておいて、干葉って言うんですけど、冬の間、味噌汁の汁の実にして、毎日食べてました。酒粕を入れたりして。うちの人はあの味が忘れられないって言うけど、干してるからビタミンDがあって、体によかったんですね。この年まで元気でいたっていうのは、そういうものを食べてきたからじゃないですかね。暗いうちから野良仕事して1日5食食べました。冬の間、お菓子なんて売ってなかったから、凍み大根とニシンを甘辛く煮ておこひるにしてね。みんな自給自足でした。ウサギを5匹くらい飼って、暮れに1匹捌いてお吸い物で食べた時は、鶏肉よりおいしかったのを覚えてます。節分にも捌いて、雄と雌はとっておいて。骨は、叩いて、石臼で引いてお団子にしてお酒につけておくと保存できるから、味噌汁や煮物にいれて食べておいしかったですね。皮は皮でなめして頭巾にしたり尻あてにしたりしました。
 食生活改善協議会で勉強しておりましたので、小学校におやき作りを教えに行ったりもしました。ブルーベリーも無農薬で育てていて、肥料は油粕と米糠の有機栽培です。毛虫とかいれば、手でとって大変ですよ。昭和52年に県の委託で試験栽培を始めました。うちがまっさきで、野口の人も植えたけど、育たなくて、4、5年でやめちゃいましたね、良い土がないと育たないんです。ブルーベリーの木は5年くらいから収穫できます。うちのは30年くらいたつのもあります。古い木は5、6年たつと切っちゃって、シュートって言って下から枝が出てくるから、木を切り還していく。一株5、6本くらいがいいと思います。

 ジャム作り体験も年間やっていて、本物のジャムが30分くらいで作れます。5種類のジャムを販売していて、ルバーブもうちでつくってます。りんごとプルーンは大町産、あんずは更埴のものです。1年に2回、保健所に検査してもらっているので、ぜんぶ安全なものです。ヨーグルトや牛乳寒(プリン)を自分で作ってジャムをのせて食べてます。売ってるものは、なにが入ってるかわからないから、こわくて、自分で作ってますね。

 ブルーベリーは冷凍しておいて、終わりそうになればつくって、在庫を抱えることがないのが、つくりながら売ってることの良さですね。80過ぎてもやれって言う人もいるけど、あと、2、3年くらいだと思います。後継ぎがいないから、わたしで終わりだね。

 おいしいものを食べるって、ずくがいって大変だよね。栗だって、皮むいたり、大変な手間だから。おやきは冬の間に一人で2、300個作っておいて、近所の人や手伝いの人にあげてしまって、ほとんど販売していないから、先着20名くらいには、野沢菜か栗あんこを食べてもらえると思います。

北ヤマト園
大町市平11639
0261-22-0625